ビジネスコンテスト必勝方法が分かる?!講師を務めた吉川真人さんが解説!

中国ビジネスコンテスト登竜門。そのコーチを務める吉川さんに、第1回合格者森順子さんのプランを元に、ビジネスプランを作る上で重要なポイントを解説していただきました!これから参加を考えている方は必見です!

本日はよろしくお願いいたします!

よろしくお願いいたします!

初めに、事業戦略・マーケティング・資本・人事・法務の5つの観点から森さんのプランについて解説いただきます。事業戦略はいかがでしたか?

森さんの事業戦略は初めのプランから良い意味であまり変更はなかったです。中国では昨今メタバースが盛んで、そこに既にご自身がされている事業、自分たちの強みを掛け合わせたというところが正解だったと思っています。

トレンドになっているということはそもそも需要があるということ。そこに加えてコロナでバーチャル旅行は潜在的ニーズがあると思うので、それを踏まえた上で考えられた良いプランだったと思います。また、北海道という中国人に大人気の場所を捉えていたのも強みだと思いました。

マーケティングはいかがでしたか?

最初は百度やWechat、Weiboを使うプランをされていました。中国市場向けのマーケティングを知らない日本人が大半なのでよくあるプランなのですが、日本でググったらでてくるじゃないですか?「百度リスティングでプロモーションをしませんか?」とか「中国版TwitterのWeiboで御社の知名度を上げましょう」「中国版LINE@のWechat公式アカウントでファンを増やしましょう」みたいなセールストークを使う会社。

あれって情報の非対称性を使った悪徳な商売だと私は思っていて、今中国でWechat公式アカウントやWeiboを日本のクライアントに使わせるのはスキャマーですよ(笑) そんな提案してくる会社があれば私に相談してほしいですね。一言で「それ無駄っす」ってバッサリ切り落とします。実際問題、中国人曰く、「百度で表示されるリスティング広告はゴミ」で、その多くは商品情報もよくわからない中、いきなりカスタマーサービスのチャットに飛ばす詐欺と思う人が多いのが現状です。コピーライティングも他社の名前を勝手に使ったり、そもそも文言すべて丸パクリなんてことも当たり前の現状で、日本のグーグルとは違います。

当初森さんは中国のマーケティングを知らず、日本のやり方を前提にしていたという印象だったのですが、コンテストに向けてやりとりをする中で、旅行関連で相性がいいツールは抖音とREDという話をしたら一瞬でシフトチェンジ。森さんの柔軟性のあるところがさすがでした。コンテストの時点では、マーケティングの詳細なプランニングまで考えるのは必要十分条件ではなく、マーケティングでどのツールを使い、どのようなキャラ設定でどのような情報を発信するのかというのを適切に選択できているだけでOKです。

資本についてはいかがでしたか?

まずExcelを使って初年度の収支バランスをどうやってとるのか試算してくださいと伝えたところ、実は森さんは初年度を赤字になる想定でつくられていました。日中関係なく、初年度から黒字になる前提で、捕らぬ狸の皮算用のようなプランを作る人って実際たくさんいるんですが、彼女の場合は現実をしっかり見据えたプランだと思いました。

理想主義者すぎず、リアリストの視点を持った方という印象を受けました。そして、試算から初年度はどのくらいの予算が必要なのかもしっかりと考えていて、足りない部分に関しては銀行での借入を検討するなど選択肢を広げていることも起業家としてあるべき姿勢を感じさせられました。

HRの観点はいかがでしたか。会社に中国語を話せる方はいらっしゃいましたか?

中国語を話せる方はいらっしゃいませんでしたが、北海道在住中国人は森さんの周りにたくさんいらっしゃると思うので特に気にしませんでしたね。重要なのは中国語が話せる方がいるかどうかよりも、どのようなチーム構成をしているかです。

森さんはあくまで起業家であって、撮影をするわけでも編集するわけでもありません。撮影部隊を準備したり、VR制作会社から許可を既に得たりと、しっかりチームを固めているという印象でした。今抱えている課題は中国国内にパートナーがいないということですが、これもタイミングがきたらでいいでしょう。まずは森さんと一緒に組みたいという状態に持ち上げていくことが重要で、REDや抖音を使って森さんをIP化していく方を先に実現させたいです。

法務の方についてもお伺いします。中国では法律が厳しいこともあり森さんも最初は苦戦されたとおっしゃっていました。

森さんは日本でVRを使った教材事業をしていることもあり、はじめはそれを中国でできるかどうか質問を頂きました。ご存知かもしれませんが、現在中国では新東方を始めとして、教育事業が規制強化されており、規制分野に外資が乗り込むのはリスクだという説明をしました。そこからすぐに旅行分野に絞られたのでチャイナリスクに対する意識は持たれていると思います。

あとは商標登録を事前に行う予定で、これは中国でビジネスをする上ではとても重要なことですよね。リスクヘッジできるかどうかは、中国でも抜かりなくビジネスをしていく上で重要なので、その点問題無さそうに感じました。VRに対する規制は今のところなく、現在はXR分野を伸ばす方針を打ち出しているので、政府の後押しがある分野だと思います。

吉川さんが監修されたことでどのように変わったか教えていただけますか。

この質問とても難しいですよね(笑) 森さんは初めからVRを使うということは決まっていたのですが、中国のVR事情はあまり知らないようでした。

そこで自分は最近百度が「シーラン(希壤)」というメタバースのプラットフォームを展開しているという情報やLINK&CoというEVメーカーがシーランにメタバースストア(ストアのバイトは時給300元)を出店している、という将来のビジネスモデルのヒントになりそうな情報を出したりしました。自分が関わることで実際の中国のユースケースの一部を知っていただけたかと思います。

初めが60点だとしたら、改善することで80点に上がり、コンテスト終了後の行動次第で100点に近づいていけると感じています。頭の中をクリアにしていくことには貢献できた自負はありますが、森さんの場合学習能力が高く、スピードも早く、柔軟で素直なタイプなので、私が仮に何も手助けしなかったとしても自力でリサーチをしていたでしょう。

これも難しい質問かと思うのですが、吉川さんが加わることでプラスに変わったことなどはありますか?

最初、森さんの北海道VRツアーの参加費の価格設定が600元だったので高くないかと聞いたことがあったのですが、すぐに「上海のディズニーランドは600元でその半額の300元だと高い気がしたので200元に修正しました!」と回答がきたので、価格の面など細かな部分で役に立てたかと思います。

もちろん企業家としてユーザーと向き合う中で適切なプライシングは見つけ出せると思いますので、プランコンテストの時点で正解を見出す必要はありません。

今後は森さんとはどのように事業を展開していくのでしょうか?

今突然プラットフォームを始めても人が集まらずリスクが高いと思っています。なので事業は中長期的にやっていきましょうという話はしていて、その前に、REDや抖音で森さんをIP化していくことを先に実現させたいです。

森さんを「北海道博士」というポジションにして、なんでも北海道のことを知っている人としてファンをつけ、ファンの固定化を図り、途中からVRの事業の話をすることで、そこからビジネスパートナーを見つけたり、中国のファンなどからヒアリングすることで適切な形を見つけていきたいと思っています。

最後に中国のビジネスプランをつくる上で大切なことを教えてください

大事なことは3つあると考えています。

1つ目は中国事情を知ることです。
日本での成功事例や実績があることは非常に素晴らしいことですが、中国の現状を知らないことにはそれがそのまま通用するかどうかわかりません。通用するかどうかわからないけど、「日本のものだから、日本のサービスだから受け入れられるだろう」と高飛車な態度を取ってしまうとリスクです。

2つ目は中国での事例を学びコピーすることです。
手っ取り早いのは類似した会社やサービスをリサーチして徹底的に深堀りしていくこと。それは中国に進出した日本の企業でも良いですし、中国のローカル企業でも良いと思っています。ただ、日本の企業の半数近くは中国市場でのマーケティングに関して悩んでいる、というデータもあるくらいなので、言語面、文化面、ワークフロー面でも中国の会社の事例を調べるほうが適切です。飲料メーカーなら元気森林、コスメなら花西子、不動産なら贝壳找房(ソフトバンクが投資)、ライブコマースならタオバオ、などのようなイメージです。

3つ目は細かく作りすぎないことです。
ビジネスプランで重要なのは枝葉の話ではなく、土を固めて、根幹を築き上げることだと思っています。ビジネスプランを作成する人は起業家であり、決して作業者ではありません。そのため、ざっくりとしてて構わないのでビジネスの大枠を考えていく。一旦紙に書きなぐってみるといいですし、コンテスト中に触れる「リーンキャンバス」をフル活用しても良いです。ビジネスプランというと、ヒト・モノ・カネ・情報の4つのリソースをどのように分配していくか、ということ自体重要にはなりますが、最も重要なのは「どんな人をどんなサービスでどのような状態にすることでお金を稼ぐのか」をシンプルに考え出すこと、と私は考えます。

なるほど!本日は貴重なお話ありがとうございました。

ありがとうございました!

profile yoshikawa

吉川真人 さん プロフィール

中国ビジネスモデルアワードにて、中国ビジネスマーケティング講師就任

新卒でベトナムHR企業でマーケティング責任者と法人営業3年、東京でフリーランスとしてCTripグループ会社や中国系IoT企業の支援を経て、2019年深センに渡り、2020年中古ブランド×Techのmonobank China共同創業者となり、ウェブマーケティングやデータ分析、ファイナンスを主に担当。

Twitterフォロワー18900人を超えるビジネスインフルエンサー。

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