はじめに
中国SNSデータから読み解く、対日不動産投資市場の現在地
東京マンダリンアワードでは、中国人投資家による対日不動産投資市場の最新動向について、中国SNS「RED NOTE(小紅書)」を中心としたデータ分析を通じて定点観測を行っています。中国SNS上の投稿量や反応データを軸に、政治・経済といったマクロ環境や金融市場の変化を重ね合わせることで、日本不動産市場における投資・実需トレンドを多面的に整理します。
直近では、為替環境や中日関係の緊張感といった外部要因を背景に、投資一辺倒から「実際に住む・使う」ことを前提とした物件選好がより明確になっています。RED NOTE上では、都心部を中心とした生活利便性の高いエリアや、3LDKを中心とするファミリータイプ、価格帯の二極化などが顕著に表れており、中国人投資家の関心はより現実的・選別的な段階に入っていると考えられます。
中国SNS活用における実務視点と収益化のポイント
加えて、東京マンダリンアワードでは、中国SNS運用の実務に精通した専門チームの視点から、日本の不動産事業者がどのように中国SNSを活用し、実際の問い合わせ獲得や商談化につなげていくべきかについても考察します。単なる物件紹介ではなく、生活イメージの提示、価格非公開による対話誘導、DMを起点としたオンライン接客導線の設計など、収益化を見据えた運用上の留意点が重要になっています。
中国市場向けプロモーションに関するご相談について
自社内でのSNS運用体制構築が難しい場合や、中国本土・中華圏(台湾・香港等)に向けた不動産販売訴求に課題を感じている事業者様に向けて、東京マンダリンアワードでは中国SNS運用に関する各種ご相談を承っています。あわせて、外国人投資家との取引における実務的な課題や、中国市場に向けたプロモーション開始の適切なタイミングについてのご相談も可能です。
お問い合わせフォームより無料相談をお申し込みいただいた方には、「2025年11月 中国SNSにおける対日不動産投資動向・分析レポート」を進呈しています。中国SNS上の実データに基づく最新の市場動向を把握する一助として、ぜひご活用ください。

目次
RED NOTE上における不動産業者の物件販売動向(前月比)
※2025年11月にRED NOTEに掲載された日本不動産の販売投稿300件を分析




10月・11月の対比で見る、RED NOTEにおける対日不動産関心の変化
10月から11月にかけて、RED NOTE(小紅書)上における対日不動産への関心は、前月に続き「実需志向の継続」と「中価格帯・広め間取りへの選好」がより明確となった。間取り別では3LDKが引き続き中心的な位置を占める一方、2LDKおよび4LDKの構成比が上昇しており、家族利用や将来的な定住を見据えた検討が進んでいる様子がうかがえる。
物件種別では、一戸建ておよび一般マンションが全体の約7割を占めており、前月から大きな構造変化は見られない。価格帯に目を向けると、1億〜3億円の高価格帯が引き続き最大ボリュームを維持する一方で、4,000万〜7,000万円の中価格帯が拡大している点が特徴的である。慎重な市場環境の中においても、過度なリスクを抑えた「実需型資産」への関心が高まりつつあると考えられる。
エリア別では横浜市が安定的に首位を維持し、加えて都内では板橋区・北区といった都心近接かつ価格バランスに優れた地域が存在感を示した。全体として様子見ムードは残るものの、RED NOTE上では実需を軸とした選別的な動きが着実に進行しており、日本の宅建業者にとっても、訴求軸の再整理が求められる局面に入っていると言える。
観光減速でも止まらない来日行動:11月の中国人訪日数が示す「実需訪日」
2025年11月の中国人訪日客数は56万2,600人となり、前月10月(約71万5,700人)からは減少したものの、前年同月比では約3.0%の増加となった。8月のピーク時(約101万人)と比較すると水準は落ち着いており、季節要因に加え、日中関係の緊張感、中国国内の景気減速、為替動向などが重なり、短期的な移動に対する慎重姿勢が表れた結果と考えられる。
一方で、前年同月比でプラスを維持している点は注目に値する。これは訪日需要そのものが失速しているわけではなく、観光を目的とした一時的な移動から、「必要性のある移動」や「明確な目的を伴った訪日」へと需要の質が変化しつつあることを示唆している。特に11月は大型連休後の調整局面にあたり、純粋な観光よりも、家族訪問、不動産下見、長期滞在や将来的な移住検討といった要素が相対的に増えやすい時期でもある。
こうした動きは、不動産・教育・医療など中長期視点の需要と親和性が高く、単純な観光回復指標以上に「訪日行動の質的変化」を読み取ることが重要となる。11月の数値は、中国人訪日需要が依然として底堅く存在しつつも、量から選別へとフェーズが移行していることを示す結果と言える。
存在しつつも、量から選別・慎重へとフェーズが移行していることを示す結果といえる。


10月〜11月に見る円安進行の構図:ドル・人民元に対する為替変動の要因分析
2025年10月1日から11月末にかけて進行したドル高・円安、ならびに元円の上昇は、主として日米金融政策の方向性の差と市場心理の変化に起因している。10月以降、米国ではインフレの粘着性が意識され、FRBによる利下げ開始時期が後ずれするとの見方が強まった。一方、日本では日銀が緩和的な金融環境を当面維持する姿勢を崩さず、日米金利差が改めて意識されたことで、円売り・ドル買いの動きが加速した。その結果、ドル円は10月初旬の147円台から、11月末には156円台後半まで上昇している。
人民元については、中国当局が景気安定を優先し、急激な元安を容認しないスタンスを維持していることから、対ドルでは比較的安定した推移となった。しかし、円が急速に下落したことで、元円では相対的に上昇する形となっており、これは元高というよりも「円安の波及効果」による影響が大きいと考えられる。加えて、地政学リスクや日中関係の緊張感が意識される中で、安全通貨としての円の評価が相対的に低下したことも、10〜11月にかけての円安基調を後押しした要因の一つと言える。

中国人から注目を集めるRED NOTEの不動産投稿に見る最新ニーズの読み解き
― 国内宅建業者が中国市場で押さえるべき実務ポイント ―
2025年11月のRED NOTE(小紅書)上の不動産関連投稿を俯瞰すると、中国人ユーザーの関心が「投資一辺倒」から明確に変化している様子が確認できる。特に目立つのは、大阪・東京・横浜といった生活圏における一戸建てや2LDK〜3LDKの実需物件であり、郊外エリアであっても「駅徒歩圏」「住み替え可能」「家族で居住できる広さ」を備えた物件が上位に並んでいる。これは、“住むことを前提に選ぶ”層が主流となりつつあることを示唆している。
一方、都心部では渋谷・港区・麻布十番といった超都心エリアの大型物件も一定の注目を集めているが、件数としては限定的であり、市場全体としては実需型とハイエンド層による選別的な動きという二極化が進んでいる。多くの中国人ユーザーは利回りよりも、生活の安定性や将来的な売却可能性、さらには永久・所有権といった権利面を重視しており、投稿文中でも「梦想之家(夢のマイホーム)」といった実需を象徴するワードが頻出している点は注目に値する。
また、「房东急售(急なオーナーチェンジ)」「便宜出(割安物件)」といった表現が中国人消費者の高い反応を得ていることから、足元の政情や市場環境を背景とした、割安感のある事情物件への感度が高まっていることも読み取れる。日本の宅建業者にとっては、単なる中国語翻訳ではなく、実需・投資の切り分け、生活イメージの提示、価格背景の丁寧な説明といった視点を踏まえた情報設計が、今後の中国市場対応において重要な鍵となる。
なぜ中国人の不動産関心は「実需・選別型」へ移行しつつあるのか
現在、中国人による日本不動産への関心が「投資中心」から「実需・選別型」へと移行している背景には、複数の構造的変化が重なっている。第一に挙げられるのは、中国国内における不動産不況の長期化と資本規制の強化である。これにより、短期的な価格上昇や利回りを追求する投資行動は抑制され、資産保全や生活の安定性を重視する意識が強まっている。その結果、海外不動産についても「投資対象」ではなく、「実際に住める資産」「長期的に保有できる拠点」としての位置づけが広がりつつある。
第二に、日本市場側の環境変化が影響している。円安による価格面の優位性は依然として続いているものの、国内金利の上昇や需給調整の兆しが見え始めたことで、中国人ユーザーの間でも物件選別が進んでいる。単に安いから購入するのではなく、立地や将来の流動性、実需としての使い勝手を総合的に判断する姿勢が強まっていると言える。
第三に、中国SNSの成熟も見逃せない要因である。RED NOTEなどでは、購入後の生活実態や売却事例、失敗談までが日常的に共有されるようになり、日本不動産は「憧れの海外投資」から、現実的な人生設計の一部として認識される段階に入っている。こうした環境下では、需要が単純に減少しているのではなく、質的転換が進行していると捉えるべきであり、この変化を正しく理解することが、日本の宅建業者にとって今後の成約獲得における重要な鍵となる。
中国人の買い手が慎重になってきている局面で、RED NOTEをどう使うべきか
RED NOTE(小紅書)を活用した中国人向け不動産プロモーションは、現在「使い方次第で集客成果に明確な差が生じる局面」に入っている。中国人買い手の動向を見ると、短期的な投資目的による動きは一服している一方で、実需や長期保有を前提とした検討層は依然として厚みを保っている。特に2LDK〜3LDKの一般マンションや一戸建てなど、家族での居住を想定した物件への関心は引き続き高い水準にある。
RED NOTE上では、利回りや値上がり期待を前面に押し出した投稿よりも、「マイホーム」「生活環境」「住んだ後の暮らし」といった生活文脈を伴うコンテンツが高い反応を得ている。これは、中国人買い手が「投資家」ではなく「生活者」として日本不動産を捉え始めていることの表れであり、市場が量から質へと移行していることを示している。
このような環境下で不動産業者に求められるのは、RED NOTEを単なる広告媒体として扱わない姿勢である。現在の中国人買い手は、情報の信頼性や投稿者の立場を慎重に見極めており、強い売り込みや過度なメリット訴求は逆効果になりやすい。物件紹介に留まらず、購入後の生活イメージ、エリア選定の考え方、将来的な売却時の実務までを丁寧に共有することが、信頼形成と問い合わせ獲得につながる。実際に、こうした姿勢を徹底することで成果を上げている不動産業者の事例は、今後のRED NOTE活用における重要な示唆を与えている。
中国人実需層を捉えるために、今、日本の不動産会社が取るべき投稿戦略
現在の中国SNS(RED NOTE)上の動向を見ると、日本の宅建業者が中国人集客において重視すべき軸は、「量より質」「投資より実需」「情報より信頼」へと明確に移行している。とりわけ重要なのは、投資案件と実需案件を曖昧にせず、発信段階で明確に切り分けることである。現在、反応を集めているのは2LDK〜3LDKの一戸建てや一般マンションなど、家族居住や将来定住を前提とした物件であり、「マイホーム」「日本での生活」「長期保有」といった文脈を前提に設計された投稿が有効となっている。
また、物件単体の条件説明に留まらず、生活イメージと意思決定材料を可視化することが重要である。周辺環境や通勤動線、学校・医療機関、治安、将来的な売却可能性など、中国人ユーザーが不安を抱きやすい要素を先回りして丁寧に説明することで、投稿そのものが信頼形成の役割を果たす。RED NOTEでは「売っている人」よりも「理解してくれる人」が選ばれる傾向が強く、不動産購入後の生活実例や売却に至った経緯など、ストーリー性を伴う実体験の共有は高いエンゲージメントを生みやすい。
現在のフェーズにおいて不動産業者が取るべき戦略は、実需層の視点に寄り添い、意思決定に伴走する情報発信である。これこそが、結果的に問い合わせ獲得と商談化を安定的に生み出す最短ルートと言えるだろう。
【#勝手に分析】RED NOTEにおける集客成功アカウントの考察
本シリーズでは、2025年11月のRED NOTE(小紅書)上において、不動産販売プロモーションで高い反応を獲得した不動産業者アカウントを対象に、その投稿内容や訴求手法を独自視点で分析していきます。
単なる物件情報の掲載に留まらず、なぜその投稿が中国人ユーザーの関心を引き、問い合わせや商談につながっているのかを整理し、日本の宅建業者が中国SNS集客を行う上での実践的なヒントを抽出することを目的としています。

【投稿タイトル】
東京・渋谷 神宮前 261㎡の超大型住戸の高級住宅|2024年引き渡し
中国人向け不動産投稿のタイトル設計においては、「東京」「渋谷」「神宮前」といった都市 → 有名区 → コア地名を段階的に重ねる構成が有効である。これにより、物件の格や立地の希少性を一瞬で伝えることができ、閲覧初動での選別が行われやすくなる。
また、「261㎡」のような具体的な面積数値は、中国人消費者が資産規模や階層感を判断する重要な指標であり、タイトル段階での明示は不可欠である。「超大型」「高級住宅」といった表現は、価格を記載せずとも購買層のレンジを暗示でき、結果としてミスマッチな問い合わせを減らす効果も期待できる。
さらに、「2024年引き渡し」と交付年を明示することで、新築性や保值性、リスクの低さを同時に訴求できる点も重要だ。RED NOTEでは詳細な説明よりも、一目で物件属性が理解できる情報設計が、問い合わせ数を左右する大きな要因となっている。
【文章の匠ポイント】
本投稿がRED NOTE(小紅書)上で高い反応を獲得している最大の要因は、単なる「物件説明」ではなく、価値を理解できる読者を自然に選別する構成にある点だ。冒頭に「261㎡」「神宮前」「豪宅」といったキーワードを配置することで、「誰でも購入できる物件ではない」「分かる人向けの希少資産である」という前提を明確に打ち出している。これは、無差別な集客ではなく、検討レベルの高い層を引き寄せるための有効な手法といえる。
加えて、野村不動産やPROUDシリーズといった日本国内でのブランド正統性を示すことで、中国人ユーザーが抱きやすい品質面・信頼面への不安を、初期段階で解消している点も重要である。
立地説明においても、駅距離や路線名の列挙に留まらず、「朝は銀座で仕事、夜は表参道で食事、週末は原宿を散策」といった一日の行動シーンとして描写されている。これにより、読者は購入後の生活を具体的にイメージでき、検討に伴う心理的ハードルが大きく下がる。空間描写についても、ベッドサイズや友人との食事、バルコニーでの過ごし方など、完全に実需目線で構成されており、投資ワードを意図的に排除することで「生活資産」としての価値が強調されている。さらに、「おすすめ」「掘り出し物」といった感情語や断定的な表現を用いることで、比較検討ではなく意思決定を後押しする構造を取っている点も特徴的だ。ハッシュタグについても、地域名・物件属性による検索導線と、「豪邸」「ラグジュアリー」といった憧れ導線を両立させており、集客とブランディングを同時に実現している。RED NOTEを活用する不動産業者にとっては、条件説明よりも、生活価値・希少性・信頼性を一体で語る構成が不可欠であることを示す好例といえる。
【写真構成のテクニック】
本投稿の写真構成を分析すると、単なる内外観の紹介に留まらず、暮らしの質と物件の希少性を視覚的に伝える設計がなされている点が特徴的である。冒頭には、バルコニーからの眺望や青空を強調したカットを配置し、「都心でありながら開放感のある住環境」「都市と自然の共存」といった付加価値を直感的に伝えている。これは、中国人富裕層が重視する“住環境の質”を一瞬で理解させる効果を持つ。
外観写真では、低層・段状の建築デザインや豊かな植栽を大きく写し込み、建物そのものを一つの「作品」として見せている点が重要だ。タワーマンションにありがちな量産的な印象を避け、設計思想やブランド性を前面に出すことで、希少な高級住宅であるという認識を強化している。内観についても、広角を活かしたLDK全景や、ダイニングとリビングを一体で捉えた構図により、261㎡という面積の優位性を視覚的に裏付けている。さらに、家具付きで生活感のあるスタイリングを採用することで、「購入後すぐに始まる生活」を想起させ、実需層の心理的ハードルを下げている点も見逃せない。最後に、窓越しの景色や自然光を取り込んだ写真を重ねることで、日常の快適さや所有満足度を丁寧に補強している。不動産業者がRED NOTE向けに写真を用意する際は、設備仕様の説明よりも、空間の余白・眺望・生活イメージを優先して可視化することが、中国人富裕層からの反響を得るための重要なポイントとなる。
編集後記
2025年11月のRED NOTE(小紅書)における中国人消費者の対日不動産トレンドは、10月に続き「実需主導」の流れが一段と明確になった。間取りでは3LDKを軸に2LDK・4LDKのシェアが拡大し、家族居住や将来的な定住を見据えた検討が主流となっている。価格帯では1億〜3億円の都心高額帯が引き続き存在感を保つ一方で、4,000万〜7,000万円の中価格帯への関心も高まり、全体として慎重な選別姿勢がうかがえる。エリア別では横浜市が安定的に首位を維持し、都内では板橋区・北区など、都心近接かつ価格バランスに優れた地域が浮上した。RED NOTE上では、生活イメージを重視した投稿やDMを起点とする対話型の導線が定着しつつあり、購入判断は「勢い」から「納得」へとフェーズが移行している。
【お知らせ】
株式会社東京マンダリンアワードでは、中国SNSを活用したインバウンド向けプロモーションを、戦略設計から実行までワンストップで支援しております。
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